ざきの昆虫採集記

社会人になりました。更新サボらないよう頑張ります。

2024年1発目採集

年明け1発目採集へ行ってきた。

 

昨年正月に採集したヒラタがブリード前に落ちてしまい、北海道に居たことや離島採集に勤しむあまり、まさかの本土ヒラタを正月以降未採集で今日を迎えた。

 

地元産ヒラタを細々でいいから今年こそブリードしたいと思い、近場へ。

今日はHと同行。

3年前からコクワ、ヒラタが毎年割り出せる切り株へ。

上部は乾燥しており土中の根の部分を叩く。

しかし、まさかの一撃目で幼虫が出るが傷つけてしまった。

ヒラタで間違いない幼虫なので萎える。

 

しかし食痕は他にもあり、更に掘り進むと幼虫が数匹出てきた。

コクワかヒラタしか居ないポイントで、顎の形と大きさからヒラタを確信。その後も数匹追加。

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根の周りの粘土質の部分から雄の成虫も出てた。

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幼虫を羽化させブリード予定だったが、成虫がとれるなら春先にいきなりブリードできる。

となるとメス成虫が欲しくなる。

隣の切り株の根本を掘っていると、コロンと黒い虫が転がり出てきた。

コクワかと思ったがヒラタのメスだった。

 

こんな簡単に成虫揃うなんて!

体力もそれほど使わず、地元産ヒラタの成虫ペアが揃った。上々の滑り出し。

 

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ちっさいけどいいよね、クソガキの頃からヒーローだったこの場所のヒラタは健在だった。

 

 

本日の結果

 

ヒラタクワガタ

成虫×2(オス×1 メス×1)

幼虫×10

 

 

2023総括 採集編

2023年も気づけばあと数日。

 

今年も社会人の身でありながら、2度の南西諸島遠征にも出撃し、非常に充実した1年であった。

 

初採集種、亜種も3種ゲットできた。

画像と共に今年の採集を振り返っていきたいと思います。

まずは1月、元旦からいつメンのM、Hと近所の山へ。

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コクワ、ヒラタ、ノコ(幼虫)、チビといきなり4種採集。

 

3月には人生初のオオクワ(幼虫)を採集。

実はこれまでにもオオクワ採集に出撃していたものの、一日中山を歩き回りボーズを繰り返していただけに非常に嬉しい一匹であった。

初採集種

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別日に同じ場所で採集した幼虫は見事にノコペアに化けたw

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ゴールデンウィークはヒメオオの材割りへ。

ヒメオオ、アカアシ、オニ、キンキコルリを採集。
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このとき採集したヒメオオのオスはちゃっかり自己ギネス。

 

 

六月は地元でノコ、ミヤマを採集。

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七月は奄美大島へMと遠征。

三年連続での奄美大島遠征であったが、初採集となるアマミコクワ、アマミネブトを採集。

 

f:id:kuwakabuzaki:20231227234503j:imageアマミノコギリ


f:id:kuwakabuzaki:20231227234454j:imageアマミシカ(写真のみ)
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f:id:kuwakabuzaki:20231227234507j:imageアマミコクワ
f:id:kuwakabuzaki:20231227234457j:imageスジブト
f:id:kuwakabuzaki:20231227234448j:imageアマミネブト
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7月までは札幌におり、帰阪前に道産ミヤマ採集

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8月はマイポイントでアカアシ採集。M、H、A君と共に。

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9月は東海地方へヒメオオルッキングへ行くものの、ボーズ。材割りもアカアシのみ…

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食痕はあったが…

 

11月は西表遠征。

豪雨の中人生初のヤエヤママルバネ。

小さいが思い出に残る一匹となった。

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メイン採集をダイジェストで振り返ったが、もちろんこれ以外にもたくさん出撃している。

 

2023年採集・確認種(亜種含む)

オオクワガタ(幼虫)⭐︎

コクワガタ

アマミコクワガタ⭐︎

ヒラタクワガタ

アマミヒラタクワガタ

スジブトヒラタクワガタ

ノコギリクワガタ

アマミノコギリクワガタ

アマミシカクワガタ(確認のみ)

ヒメオオクワガタ

オニクワガタ

キンキコルリクワガタ

スジクワガタ

アカアシクワガタ

ネブトクワガタ

アマミネブトクワガタ⭐︎

チビクワガタ

ミヤマクワガタ

ヤエヤママルバネクワガタ⭐︎

計 19種(亜種含む) うち4種初確認

 

 

悪くない結果だと思う。

2024年はオオクワの成虫に出会えたら嬉しい。

ブリードも採集も頑張っていこうと思う。

 

北は北海道、南は沖縄(西表島)まで全国津々浦々を採集して回れたのは良かった。

 

 

最後に、今年も一年皆様お世話になりました。

特に、採集への同行や虫部屋の管理を共にしてくれたM、Hに感謝したい。

2024年もどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

2023 弾丸西表島遠征 あとがき

過去の離島遠征の中でも特に強行日程で挑んだ今回。

天候にも恵まれず遭難しかけながらもなんとかヤエヤママルバネクワガタを確認。

大歯でも中歯でもない小さな小さな個体だが、紛れもなく自力で採集した始めてのネオルカヌス。

 

社会人になり時間的余裕がない中でぶっつけ本番、よくぞ大雨の中活動してくれていたと思う。

 

今回で西表島は3度目だったが、本格的な昆虫採集で訪れたのは初めてである。

 

以下、今回の遠征を踏まえて反省点と僭越ながら西表島で採集する際の注意点を述べていきたいと思う。

※あくまで個人の意見なので参考程度に

 

【反省点】

・日程に余裕がなかった。雨天でもとれない事はないが危険が伴うし、晴れている方が個体数もきっと多い。いけるなら日程に余裕を持ってリベンジしたい。

 

GPSを信用しすぎた。初めてはいる山は昼間のうちにくまなく下見をするべき。絶対に。初採集なら尚更。林道からそれほど離れていなくてもすぐ迷う。

 

・有害生物への対応。これはよくできた。ハブを踏みかけたのは危なかったが、自分はヒルにもダニにも噛まれなかった。ヒル下がりのジョニーおすすめ。Mは己の肉体を無料ドリンクバーとして吸血生物達に提供していたw

 

 

【注意点】

西表島で山林に入る際は入林届が必要です。以下のURLから森林管理局宛に申請し、書類を携帯、レンタカーの見えるところに提示してから採集へ向かいましょう。

https://www.rinya.maff.go.jp/kyusyu/okinawa/yousiki.html

 

・ゴミ箱が無い。宿以外にペットボトルを捨てるゴミ箱すらなかなか無い。宿でまとめて捨てさせてもらうか石垣島で廃棄しましょう。

 

GPS必須。山に入るなら無いと死ぬ。林道から離れて迷ったら最後、死ぬw 携帯できるものか圏外でも使えるアプリを使いましょう。個人的には両方揃えるのがベター。スマホだけだと壊れたら死を意味します。

 

・必ず2人以上で。何かあった時に1人だとやばいです。猛者は一人で行くみたいですが、初心者は複数人でいきましょう。

 

・とれなくても無理をしない。命あってこそです。天気が悪い時はなるべく採集を控えましょう。本文中に「天気を理由にとれないと言っているうちはへっぽこ」といったニュアンスの表現がありますが、無理はしないほうがいいです。一人で採集行く方、悪天候でも突き進む方々は我々の想像を絶する特殊な訓練を受けています、きっとw

 

何はともあれ、無事に帰還できてよかった。

 

 

 

日本最後の秘境、西表島

そこには確かに数々のクワガタ愛好家を魅了してきた魔性の虫、ヤエヤママルバネクワガタが居た。

イリオモテヤマネコ等数々の固有種を育み、今なお新種が発見される島。

生き物の宝庫だった。最高の島だ。

 

 

ありがとう、西表島

来年以降、採集規制の話が出ているがリベンジさせてくれ!!

 

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同行してくれたM、採集前にたくさん情報を教えてくださった採集者の皆様、宿のおっちゃんおばちゃん、現地でお会いした皆様、関わってくれた全ての方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

来年も行けるなら絶対リベンジする

 

 

 

 

 

2023 弾丸西表島昆虫採集記 完

2023 弾丸西表島昆虫採集記③

朝、6時に起き宿のチェックアウトを済ませて大原へと向かう。

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相変わらず曇天で雨も降っている。

 

今日は採集をする時間はないが、上原→大原港までの道路に何か落ちてないかを見ながら進む。

サキシママダラやカニはいるがクワガタは居ない。

大原でレンタカーを返却し、フェリーに乗り込む。

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晴れ間を見ることなくこの島を離れる事となる。

悔しい気持ちがある反面、初のマルバネ採集で自分達の見つけた木で確認できた喜びもある。

 

石垣に着き、空港へ向かい手荷物検査を済ませる。

 

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お土産屋さんに弁当が売っていたので朝飯として機内で食べるために購入。

 

疲れと明日からまた始まる日常のことを考えているとやるせない気持ちになる。

 

飛行機が飛ぶか心配したが、問題なく離陸した。

すぐに寿司弁当を食べ、意識を失うかのように眠りに落ちた。

関西空港に到着し、第二ターミナルから駅へ向かう。

 

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関西も雨かよ…w

 

本当に天気に恵まれない遠征でしたw

 

 

3日目結果

 

ボーズ

 

 

2023年西表島遠征結果

 

ヤエヤママルバネクワガタ オス×1

2023 弾丸西表島昆虫採集記②

昨晩の余韻に浸されつつ2日目の朝を迎える。

今回は超短期日程のため、実質今晩が最終日である。

 

昨晩かなり歩いた割には疲労感も少なく、割と体は軽かった。

昨日より雨風が強まっており、モチベーションは限りなくゼロへと近づく。

 

とりあえず朝飯を食べ、なんとなく野生生物保護センターへ行ってみる。

 

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イリオモテヤマネコ関連の展示や八重山地方の生き物についての展示があるとのこと。

 

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やっぱりまず最初にここを見る。

ヤエヤマコクワほしい〜

Mが「チャマルちっさ!こんなの雨の林道で見つけるんクソむずいやん」と愚痴をこぼす。全くもってその通りだ。

晴れているならいっぱいいるのかもしれないが雨はキツイ。

 

 

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イリオモテヤマネコの展示コーナーも見ていく。

鳴き声を再生するボタンがあり、威嚇時などいくつかのパターンがあった。その中でMがずっと『発情時の鳴き声』を連続再生していたw

館内に響き渡る発情ネコの声。疲れているからかこんなしょうもないことでも爆笑してしまうw

 

さらに運転シミュレーションのようなものもあり、内容は飛び出してくるヤマネコを避けるといったものだった。Mがチャレンジし開始3秒で画面内のヤマネコを吹っ飛ばして終了したww

 

 

リアル運転では安全運転を心がけましょう

西表島内はほとんどの道路が40km/h制限です

 

 

それなりに楽しんだ後、また山へと向かう。

 

 

たまに雨が弱まるタイミングでチャマルのポイントへ行くものの、林道を歩いている個体は確認できない。

乾いたウロの中や落ち葉、倒木を起こしていくものの確認することができないまま時間だけが過ぎていく。

林内にいても雨が強く打ちつけてくるため、モチベーションも下がっていく。

さらにMが林床で獲物を待ち構えるヤマビルがいたなどと言うので余計に萎えてくる。

 

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林内にはハブももちろんいた。動かずに居ると本当にわからない、踏んでしまいそうになる。

 

 

チャマルを諦めて林道を出た時、丁度別の採集者の方にお会いした。

天気がいい時はチャマルもそれなりに採集できていたと仰っていたため、いま現在の天気をひたすら恨んだ。

 

その方がヤエマルのポイントのヒントを教えて下さったため、今夜はそちらへ行ってみようということに。

 

 

 

夕方のまだ明るい時間帯に装備を整え、雨雲レーダーを確認する。

18時前後に雨が弱まりそうなのでそのタイミングを狙い突撃することに。実際に18時ごろ雨が弱まったので林内へ。

 

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林内に入る直前、道路を横断中のセマルハコガメを発見。小学生の頃見て以来、実に15年ぶりの発見。

天然記念物であり、触れることは許されないため無事に道路を渡り切ることを祈りつつ先へ進む。

 

林道は川のようになっており、長靴でなければ歩行不可能なほどドロドロであった。

林道に入ってすぐは針葉樹が多く、スダジイを探して奥へ奥へと進む。

昨日に比べると川を越えなくて良いためかなり楽に感じた。そう、この時までは…

 

 

 

 

30分ほど林道を進むと、両サイドにスダジイの大木が確認できるようになる。初めは林道からそれほど外れない範囲で散策していたが、どんどん良さげな木を見つけ、知らず知らずのうちにかなり林道から外れてしまっていた。

GPSがあるので大丈夫だろうとどこかで油断していたのかもしれない。

 

気づくとあたりは真っ暗で、再び大粒の雨が落ちてきた。

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林内にもセマルハコガメ

 

昼間とは全く違う景色、雨により出現した普段はない川のせいで地形が全く把握できない。

おまけにツルアダン、イバラ、粘土室の土壌が真っ直ぐ歩くことすら阻害してくる。

 

ここでMが口を開く

「もしかして俺ら、遭難した?」

口には出さなかったが脳内で

「遭難(そうなん)です」

と答えた自分に辟易したww

 

 

そう、我々は遭難した。

しかしGPSも生きているしライト、スマホの充電もまだまだいける。落ち着いて林道を目指せば大丈夫だと話し合い、とりあえず林道方面へ向かう。

一度谷を越え斜面を登ったら林道に出るはずなのだ。泥まみれの斜面を慎重に下り、谷と思われる場所へ辿り着く。

 


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が、目の前に広がるのは腰の深さほどの濁った川というか湿地帯だった。

ダメ元で数歩歩くがたちまち足が沈み危険と判断。元の斜面へ戻り大きく迂回して林道へ戻る作戦をとる。

この時点で最早ヤエマルのことはどうでも良くなっていたw

 

しかしここで再び問題発生。直線に進んだつもりが林道から真逆の方向へと進んでいる。

 

これまでは遭難したと口で言いつつも、Mと冗談を言いつつ歩く余裕があった。しかし林道からどんどん離れていく地図上の自分たちを見て、さすがに言葉を失った。

 

そこで、林道の方向に生えている5メートルほど先の木を目印に進む作戦を取ることにした。

 

目標となる木を決める

その木にたどり着いたら再びGPSを確認

2人で確認

次の目標設定

 

これを繰り返し、迂回を繰り返し少しずつ、着実に林道へと進む。

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林内はもはや湿地帯。

お構いなしに進む。

 

林道まであと地図上で10メートルほどに迫った時、後ろを歩いていたMが「動くな!」と叫ぶ。

「お前の足元、ハブが居る…」

恐る恐る足元を見ると地面に同化したハブがゆっくりと右足のすぐ後ろを通っていた。

あと10センチズレていたら間違いなく踏んでいただろう。

サキシマハブは毒性が弱いし攻撃的ではないと言われるが、流石に踏んでしまったら噛まれてもおかしくないだろう。

この状況で噛まれたら最悪である。

 

改めて気を取り直し、林道へ向かう。

 

 

 

林道の方で何かが光る。

ライトだ、他にも人がいる!!!

 

この時ほど他の採集者に出会って嬉しかったことはない。

後ほど判明したが、イベントでもお会いしたことのあるフォロワーさんであった😂

(あまりに疲労困憊していて気がつきませんでした、申し訳ありません…)

 

やっとの思いで車を停めた場所まで戻り、宿へ向かう。びしょ濡れであまりの寒さで暖房をガンガンに付けた。

 

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バケツをひっくり返したような雨やんけ!ボケ!

 

宿に着き、風呂と飯を済ませ、帰りの準備を整えたところでよく見るアレをやってみる。

 

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大歯なら…とか思ってはいけないww

 

悔しいがこれが今の自分達の実力なのだ。

知り合いの採集者さんは雨の中でも大歯を採集されている。天気を理由にしているうちはへっぽこの域を出ることはできない。

 

 

結局今日はパーフェクトボーズだったが、西表島の様々な生き物たちに会うことができ、何より無事に生きて帰って来れてよかった!!

 

文章で読んでいる方は大袈裟だと思うかもしれないが、本当に方向がわからなくなる。

久々に味わうガチの「死ぬかと思った」体験であった。

 

 

 

2日目結果

 

ボーズ

 

 

 

 

 

2023 弾丸西表島昆虫採集記①

朝5時、関空のイスで朝を迎え、軽めの朝食をとりなんやかんやで石垣行きのピーチに乗る。

 

この三日間の天気予報は芳しくなく、関空も雨、先島諸島も雨予報となっている。

島の天気は変わりやすいと言うし、飛行機が飛ぶなら大丈夫だろうと言い聞かせ、石垣空港へ。

機内では爆睡しており、気付くと着陸30分前であった。

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石垣空港 ここからバスで30分ほど移動し、西表島大原港行きの船に乗る。

 

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高校の修学旅行で来て以来。

 

フェリーで西表島大原港へ向かう。f:id:kuwakabuzaki:20231112082530j:image

着いてから八重山そばを食べた。塩加減がちょうど良く、とても美味しくてすぐに平らげてしまった。

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レンタカーを借り、スーパーで飲み物や食料を買い込み、宿へと向かう。

今回利用させていただいたのは「カンピラ荘」さん。まさかの1人一部屋で広々と使うことができた。

準備を整えまずはチャマルのポイントへ向かう。採集できる可能性は時期的にも天候的にも低いが、一応見てみようと言うことで。

しかし案の定林床もビチョビチョでクワガタはおろか昆虫の姿も少ない。時折トカゲやサソリモドキが顔を見せるものの、これといった成果は得られなかった。

 

一度宿へ戻り、夜のヤエマルに備えて装備を整える。西表島の山にはサキシマハブ、ダニ、ヤマビルが生息しているため、いつもより装備を厳重にする。

自分は特にヒルが大の苦手でズボンの下にスパッツ、靴下とスパッツの境目をガムテープ補強、長靴とズボンの裾をガムテープ補強という下半身の素肌露出ゼロの完璧な防御体制を整える。

きっと他の採集者さん達はヤマビルなんて気にしないのだろうが、苦手なものは苦手だから仕方ないw

服の上からヒル下がりのジョニーをかけ、いざ西表の原生林へ。

 

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ヤエマルのポイントへ移動する道中、マングローブを観察する。

 

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フエダイやボラ、スズメダイの中に一際大きな魚がいた。目を凝らしてよく見るとサメであった。

 

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小学生の頃西表島を訪れた際、仲間川に大きなサメがいるのを確認していたが、まさかこんな浅瀬にいるとは思わなかった。おそらくオオメジロザメの幼魚であろう。

小さくてもしっかりとサメの形をしており、見惚れてしまった。

 

ヤエマルポイントに到着。同業者らしき車が一台ある。やはり最盛期を過ぎているからか人は少ないようだ。

ヤエマルポイントの林道に入ってすぐ、川にぶち当たる。当然、ここを通る以外に方法はないため川を渡っていく。長靴が浸水し、不快極まりない。

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明るいうちにスダジイの大木を見つけておきたいので、目ぼしい木をマーキングしながら奥へと進む。そのうち川を何本も越えて浸水なんて気にもしなくなっていた。

 

18時ごろ、日の入りを迎える。

原生林の中は昼でも薄暗いが、曇天+日没で突然真っ暗になる。しかし大粒の雨も降ってきたので林内が瞬く間に水浸しになる。

また、土壌が粘土質であるため雨が降ると滑る。斜面だとすぐに足を取られ、まっすぐ進むこともままならない。更にはツルアダンなどの植物が行手を阻む。

悪戦苦闘しながら進むこと30分あまり、開けたところに出た。体力をかなり消費し、雨で身体も冷えてきていた。

 

先の方に大きなスダジイの木がある。

Mが、「あの木はいそうな気がする」と言い出した。俺らヤエマルとったことないやんけと心の中でツッコミながらも同じような感覚に自分も囚われていた。

 

上手く言葉では言い表せないが「オーラ」のようなものを感じるのである。

他にも同じような木があるのに、なぜか吸い寄せられるようにその木へと向かった。

 

木の表面をくまなく照らしていく…いない。

 

木の幹の上の方にも…いない。

 

自分の前を歩いていたMが木の裏に回った瞬間だった。

ついにその瞬間が訪れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?なにこれ、えっ?えっ?あ!おったァァァァァ!!!!!」

 

絶叫が暗闇に響き渡る。

急いで照らす。

そこには夢にまで見たアイツの姿が。数々の採集者達を沼に引き摺り込んだ存在があった。

 

 

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居たよ、ほんとに居た。

出てきたばかりなのか、泥に塗れていた。

サイズはかなり小さいがそれでも人生初ヤエマルである。

八重山のルビー」と呼ばれるその姿は確かに赤く、今まで採集してきたどの虫よりも神々しかった。

 

後ほど宿で計測したが、44ミリの短歯で大歯を採集されている方々からするとリリースサイズであることは間違い無いだろう、だがヤエマルはヤエマル。八重山の原生林で育った本物のワイルドヤエマルである。

強さを増していく雨も、風によって揺れる木々の音も、身体中に打ち付ける雨も忘れて見惚れてしまった。よくぞこんなクソ天気の中居てくれた。

 

 

 

Mと固い握手をし、さらに散策を続ける。

しかし、雨足も強くなり林道から大きく離れるのは危険と判断し、切り上げることにした。

 

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帰り道、ハブを踏みかけた。

林内の景色とほぼ同化しており、見分けがつかない。

 

やっとの思いで駐車場に出てくることができ、喜びを噛み締める。

宿へと帰る道中にはヤシガニも居た。かなり大きなサイズだ、この大きさになるまで何年かかるのだろうか。

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最高の気分だ、こんな台風並みの豪雨の中、よくぞ出てきてくれた。ありがとうヤエマル。

 

ここで今日は終了となる予定だったが、隣の部屋のMが何やら呼んでいる。

行ってみるとヒルに吸血されたと言っているではないか!!

瞬時に全身に鳥肌が立ち、自分もあらためて吸血されていないかを確認する。自分は幸いにも吸血されていないようだ。

 

 

で、肝心のヒルはどこおんの?と聞いたら「そこ」と一言。

 

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キッッッッモ!!!

あかん、気持ち悪すぎる。

とりあえず後でこいつの処理をどうするか決めようと言うことでヤエマルと同じルアーケースにぶち込んだ。(正直めちゃくちゃ嫌だったw)

 

吸血されたMによると、痛みどころかいつ吸われたのかすら知らないと言う。

ヒルジンってすげえと妙に感心してしまった。

 

 

風呂やら飯やら洗濯を済ませ、ヒルの処遇について相談する。

ヒル下がりのジョニーをかけてみようと言うことになり、宿の外の道路でぶっかけてみた。

ヒルはのたうちまわり、すぐに生き絶えた。可哀想なことをしたとは思ったが、吸血したヒルはメスとなり卵を産むためこの辺で増えても困る。

 

 

Mが、「俺によって女(メス)になり、俺によって殺されたんやな」などとよくわからないことを言っていたw

 

 

何はともあれ無事に1日目を終えることができてよかった。

 

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1日目結果

 

ヤエヤママルバネクワガタ オス×1

 

 

2023 弾丸西表島遠征 まえがき

2023年も3/4がおわり、夏の暑さも和らいできた10月のある仕事終わりの夜、毎年この時期になるとTL上を賑わすネオルカヌスの投稿を指を咥えて見ていた。

国内で採集可能なマルバネは2種類、ヤエヤママルバネクワガタとチャイロマルバネクワガタ。

これらは石垣島西表島にのみ生息するが、石垣島は採集禁止となっている為、西表島でのみ採集が可能なクワガタである。

今年はチャマルの表年ということもあり、例年より多くの人が西表島へと夢を求めて突撃しているようだ。

 

知り合いの採集者の方々もヤエマルを次々と採集されており、憧れと羨ましさ、尊敬が入り混じった感情に支配されつつ投稿を見ていく。

 

自分も行きたいと思う反面、日本のクワガタ採集の中でも特に過酷で危険な部類に入ると言われていることから今までなかなか踏み出せなかった自分もいる。また、自分達の採集スキルが彼らの足元にも遠く及ばないことを痛感していたため、行っても採れないだろうという思いが強かった。

奄美大島でノコギリのでかいやつをとるくらいが自分には充分なのだと言い聞かせていた。マルバネなんてのは図鑑や他人が採集したものを眺める、いわば「自分には縁のないクワガタ」の部類に入るものであり、本気で採集に向かうなんて考えは今までなかった。

 

しかし、社会人になり学生時代にやり残したことを後悔するようになり、「やれる時にやる」ことの大切さを身をもって知った。

 

今回もこのまま人の結果を眺めて終わるのか?

西表島が採集禁止になった時、後悔してももう先人達が経験した悦びを知る事はできなくなってしまうのでは?

焦りと勢いに任せ、いつメンのMとHに声をかける。Hは予定が合わなかったがMは合わせられるとのこと。無心で航空機を予約。宿の手配、レンタカー、入林届の準備を済ませる。仕事でもこんなに手際よく動いた事はない。そんなこんなで二週間が過ぎた。

 

離島遠征恒例行事となりつつある関空のイス宿泊を済ませ、いざ南の地へ。大歯もメスもほしいが、まずは一匹、ヤエヤママルバネクワガタを確認するということを目標に我々は秋の西表島へと向かった…

 

ヤエマルの季節には少々遅い気がするものの、ここに弾丸西表島遠征開始のゴングが鳴ったのである。