2023年も3/4がおわり、夏の暑さも和らいできた10月のある仕事終わりの夜、毎年この時期になるとTL上を賑わすネオルカヌスの投稿を指を咥えて見ていた。
国内で採集可能なマルバネは2種類、ヤエヤママルバネクワガタとチャイロマルバネクワガタ。
これらは石垣島、西表島にのみ生息するが、石垣島は採集禁止となっている為、西表島でのみ採集が可能なクワガタである。
今年はチャマルの表年ということもあり、例年より多くの人が西表島へと夢を求めて突撃しているようだ。
知り合いの採集者の方々もヤエマルを次々と採集されており、憧れと羨ましさ、尊敬が入り混じった感情に支配されつつ投稿を見ていく。
自分も行きたいと思う反面、日本のクワガタ採集の中でも特に過酷で危険な部類に入ると言われていることから今までなかなか踏み出せなかった自分もいる。また、自分達の採集スキルが彼らの足元にも遠く及ばないことを痛感していたため、行っても採れないだろうという思いが強かった。
奄美大島でノコギリのでかいやつをとるくらいが自分には充分なのだと言い聞かせていた。マルバネなんてのは図鑑や他人が採集したものを眺める、いわば「自分には縁のないクワガタ」の部類に入るものであり、本気で採集に向かうなんて考えは今までなかった。
しかし、社会人になり学生時代にやり残したことを後悔するようになり、「やれる時にやる」ことの大切さを身をもって知った。
今回もこのまま人の結果を眺めて終わるのか?
西表島が採集禁止になった時、後悔してももう先人達が経験した悦びを知る事はできなくなってしまうのでは?
焦りと勢いに任せ、いつメンのMとHに声をかける。Hは予定が合わなかったがMは合わせられるとのこと。無心で航空機を予約。宿の手配、レンタカー、入林届の準備を済ませる。仕事でもこんなに手際よく動いた事はない。そんなこんなで二週間が過ぎた。
離島遠征恒例行事となりつつある関空のイス宿泊を済ませ、いざ南の地へ。大歯もメスもほしいが、まずは一匹、ヤエヤママルバネクワガタを確認するということを目標に我々は秋の西表島へと向かった…
ヤエマルの季節には少々遅い気がするものの、ここに弾丸西表島遠征開始のゴングが鳴ったのである。