ざきの昆虫採集記

社会人になりました。更新サボらないよう頑張ります。

2023 弾丸西表島昆虫採集記②

昨晩の余韻に浸されつつ2日目の朝を迎える。

今回は超短期日程のため、実質今晩が最終日である。

 

昨晩かなり歩いた割には疲労感も少なく、割と体は軽かった。

昨日より雨風が強まっており、モチベーションは限りなくゼロへと近づく。

 

とりあえず朝飯を食べ、なんとなく野生生物保護センターへ行ってみる。

 

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イリオモテヤマネコ関連の展示や八重山地方の生き物についての展示があるとのこと。

 

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やっぱりまず最初にここを見る。

ヤエヤマコクワほしい〜

Mが「チャマルちっさ!こんなの雨の林道で見つけるんクソむずいやん」と愚痴をこぼす。全くもってその通りだ。

晴れているならいっぱいいるのかもしれないが雨はキツイ。

 

 

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イリオモテヤマネコの展示コーナーも見ていく。

鳴き声を再生するボタンがあり、威嚇時などいくつかのパターンがあった。その中でMがずっと『発情時の鳴き声』を連続再生していたw

館内に響き渡る発情ネコの声。疲れているからかこんなしょうもないことでも爆笑してしまうw

 

さらに運転シミュレーションのようなものもあり、内容は飛び出してくるヤマネコを避けるといったものだった。Mがチャレンジし開始3秒で画面内のヤマネコを吹っ飛ばして終了したww

 

 

リアル運転では安全運転を心がけましょう

西表島内はほとんどの道路が40km/h制限です

 

 

それなりに楽しんだ後、また山へと向かう。

 

 

たまに雨が弱まるタイミングでチャマルのポイントへ行くものの、林道を歩いている個体は確認できない。

乾いたウロの中や落ち葉、倒木を起こしていくものの確認することができないまま時間だけが過ぎていく。

林内にいても雨が強く打ちつけてくるため、モチベーションも下がっていく。

さらにMが林床で獲物を待ち構えるヤマビルがいたなどと言うので余計に萎えてくる。

 

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林内にはハブももちろんいた。動かずに居ると本当にわからない、踏んでしまいそうになる。

 

 

チャマルを諦めて林道を出た時、丁度別の採集者の方にお会いした。

天気がいい時はチャマルもそれなりに採集できていたと仰っていたため、いま現在の天気をひたすら恨んだ。

 

その方がヤエマルのポイントのヒントを教えて下さったため、今夜はそちらへ行ってみようということに。

 

 

 

夕方のまだ明るい時間帯に装備を整え、雨雲レーダーを確認する。

18時前後に雨が弱まりそうなのでそのタイミングを狙い突撃することに。実際に18時ごろ雨が弱まったので林内へ。

 

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林内に入る直前、道路を横断中のセマルハコガメを発見。小学生の頃見て以来、実に15年ぶりの発見。

天然記念物であり、触れることは許されないため無事に道路を渡り切ることを祈りつつ先へ進む。

 

林道は川のようになっており、長靴でなければ歩行不可能なほどドロドロであった。

林道に入ってすぐは針葉樹が多く、スダジイを探して奥へ奥へと進む。

昨日に比べると川を越えなくて良いためかなり楽に感じた。そう、この時までは…

 

 

 

 

30分ほど林道を進むと、両サイドにスダジイの大木が確認できるようになる。初めは林道からそれほど外れない範囲で散策していたが、どんどん良さげな木を見つけ、知らず知らずのうちにかなり林道から外れてしまっていた。

GPSがあるので大丈夫だろうとどこかで油断していたのかもしれない。

 

気づくとあたりは真っ暗で、再び大粒の雨が落ちてきた。

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林内にもセマルハコガメ

 

昼間とは全く違う景色、雨により出現した普段はない川のせいで地形が全く把握できない。

おまけにツルアダン、イバラ、粘土室の土壌が真っ直ぐ歩くことすら阻害してくる。

 

ここでMが口を開く

「もしかして俺ら、遭難した?」

口には出さなかったが脳内で

「遭難(そうなん)です」

と答えた自分に辟易したww

 

 

そう、我々は遭難した。

しかしGPSも生きているしライト、スマホの充電もまだまだいける。落ち着いて林道を目指せば大丈夫だと話し合い、とりあえず林道方面へ向かう。

一度谷を越え斜面を登ったら林道に出るはずなのだ。泥まみれの斜面を慎重に下り、谷と思われる場所へ辿り着く。

 


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が、目の前に広がるのは腰の深さほどの濁った川というか湿地帯だった。

ダメ元で数歩歩くがたちまち足が沈み危険と判断。元の斜面へ戻り大きく迂回して林道へ戻る作戦をとる。

この時点で最早ヤエマルのことはどうでも良くなっていたw

 

しかしここで再び問題発生。直線に進んだつもりが林道から真逆の方向へと進んでいる。

 

これまでは遭難したと口で言いつつも、Mと冗談を言いつつ歩く余裕があった。しかし林道からどんどん離れていく地図上の自分たちを見て、さすがに言葉を失った。

 

そこで、林道の方向に生えている5メートルほど先の木を目印に進む作戦を取ることにした。

 

目標となる木を決める

その木にたどり着いたら再びGPSを確認

2人で確認

次の目標設定

 

これを繰り返し、迂回を繰り返し少しずつ、着実に林道へと進む。

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林内はもはや湿地帯。

お構いなしに進む。

 

林道まであと地図上で10メートルほどに迫った時、後ろを歩いていたMが「動くな!」と叫ぶ。

「お前の足元、ハブが居る…」

恐る恐る足元を見ると地面に同化したハブがゆっくりと右足のすぐ後ろを通っていた。

あと10センチズレていたら間違いなく踏んでいただろう。

サキシマハブは毒性が弱いし攻撃的ではないと言われるが、流石に踏んでしまったら噛まれてもおかしくないだろう。

この状況で噛まれたら最悪である。

 

改めて気を取り直し、林道へ向かう。

 

 

 

林道の方で何かが光る。

ライトだ、他にも人がいる!!!

 

この時ほど他の採集者に出会って嬉しかったことはない。

後ほど判明したが、イベントでもお会いしたことのあるフォロワーさんであった😂

(あまりに疲労困憊していて気がつきませんでした、申し訳ありません…)

 

やっとの思いで車を停めた場所まで戻り、宿へ向かう。びしょ濡れであまりの寒さで暖房をガンガンに付けた。

 

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バケツをひっくり返したような雨やんけ!ボケ!

 

宿に着き、風呂と飯を済ませ、帰りの準備を整えたところでよく見るアレをやってみる。

 

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大歯なら…とか思ってはいけないww

 

悔しいがこれが今の自分達の実力なのだ。

知り合いの採集者さんは雨の中でも大歯を採集されている。天気を理由にしているうちはへっぽこの域を出ることはできない。

 

 

結局今日はパーフェクトボーズだったが、西表島の様々な生き物たちに会うことができ、何より無事に生きて帰って来れてよかった!!

 

文章で読んでいる方は大袈裟だと思うかもしれないが、本当に方向がわからなくなる。

久々に味わうガチの「死ぬかと思った」体験であった。

 

 

 

2日目結果

 

ボーズ